le journal des papillons
ラ・レーヴ・デ・パピヨン』の徒然日誌

蝶の館の姫君へ



「・・・ミシェル、君に伝えたいことがあるんだ。

この手紙を読んだ時、私の好きな君の笑顔が曇ってしまうだろう。

そうしてしまう私を許してほしい・・・」



―そう書いて、ペンを止める。



もう一度、書いた手紙の内容を読み返し・・・



・・・ああ、なんて自分は身勝手なのだろう。


ミシェルを、彼女を
誰よりも大切に愛おしく思っているのに

この歯がゆさ。


読み返した手紙を置き、

もう一度白紙の便箋を取り出すと
新たに文面を書きだした。



「愛する、蝶の館の姫君へ・・・」



すまない、ミシェル・・・


母の容態は、思ったより芳しくなく・・・

しばらく会うことが出来そうにない・・・。



でも必ず、必ず君を迎えに行くと誓おう。


元気になった母上に、君の姿を見せたいんだ――




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突然の出来事



「失礼します、レオナルド様」

この時間にアルマンが私の部屋を訪れることは珍しい。

何か、いやな予感がした・・・


「ルドロウ・キャッスルから急の使いが参りました。
 これを・・・」


アルマンが差し出した手紙には、

私の実の母上の急変についてが書かれていた。



・・・私の母上は、昔 ルドロウ・キャッスルで

メイド長を務めていた使用人だった。


父上の目にとまり、二人は恋に落ちたが―

次期当主と使用人の身

当時のハウエル家当主に反対され、
母上は暇を出され 館を去ることを余儀なくされた。


その後、私はハウエル家の正式な嫡男として認知されたものの

母上のついての記憶は、ほとんど残っていない。


唯一・・・

人一倍責任感が強く

美しい人だったのは覚えている。




――すまない、ミシェル。

きっと大丈夫だ。

またすぐに迎えにくるから。


・・・自分に言い聞かせるようにうなずく・・・



アルマンにパピヨンを発つ支度をするように頼み

簡単な身の回りの支度を済ませると

もう夢の中にいるであろうルイーザを起こしに向かった。
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胸にささる棘


目にみえて元気を失くしたミックと、
そんな主を気遣うパピヨンのメイド達。

あの一芝居から、少し自責の念に駆られている・・・


そんな私に気がついて
「これでいいの、」


少しかなしいような
せつなく優しい笑顔で微笑んでくれる彼女。


その憂いを払拭することはできるだろうか?


・・・ミック、いつかわかりあえる日が来るかな。



こればかりは、私一人の力ではどうにもならないよ・・ミック・・・
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演じられる誤解



階下から大きな鈴の音がしたのち

しん・・・と静まり返った屋敷


メイドも、使用人も、あれ・・さっきまで居たルゥもいない?



何があったのだろうと思い

呼び鈴のなった方、大広間へ足を向け

その扉を開けると・・・



そこには、屋敷中の使用人が揃い、

執事・アルマンが

まるで私がこのタイミングで来るのを
あらかじめ予測していたかのように

まっすぐな瞳でこちらを見据えていた。



予想外の光景と、空気に、少し息を呑む・・・。



「レオナルド様、失礼ながらお願いがございます。

 ・・・ミシェル様といっしょに、ドレスの選定に

 リリィ・テイラーへご同行いただきたいのです。」



―深々と頭を下げる、パピヨンの執事。


・・・・・?


用件の内容にしては、やけに丁寧に申し込むものだな・・・



なにか微妙な違和感を感じたとき、大広間の窓の外から視線を感じた。


あれは・・・ミック。

窓の さん から、目までの部分を覗かせて
そっと気づかれぬようにこちらのの様子を伺っている。

私に深々と頭を下げるアルマンの姿に目が釘付けになっているようだ。




用意された舞台と、その意図に気が付き はっとしてアルマンの方へ目をやる。




まるで大事な娘をたくす父親のように深々と頭を下げるアルマン。

しかし 深々と頭を下げているそのアルマンの口元が、
少し にっ と笑うのが見えた気がした。




―外から覗いているミックには、こちらの声は届かない。

―大広間に揃った 全使用人。

―それに見守られている私たち二人。

―深々と頭を下げる執事。

―対峙するのは、この館の姫君の婚約者。



・・・そして彼・アルマンは
  この館の主とその姉の父親代わりでもある。



なるほど。さすがは有能執事と名高いアルマンのことだな。



ゆっくりと、丁寧に頭をさげ、申し出を受けたつ。

・・・まるで 大事な娘をもらいうける新郎のように。





「ええ、もちろん・・・よろしくお願いします」
 
 

 
 
  
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